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R・ロドリゲス監督が超大作『アリータ:バトル・エンジェル』に込めた想い(ぴあ映画生活)




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出典元: ロバート・ロドリゲス監督

『スパイキッズ』シリーズや『シン・シティ』で知られるロバート・ロドリゲス監督が、超大作『アリータ:バトル・エンジェル』を完成させた。本作は未来世界を舞台に、主人公アリータが壮大な戦いを繰り広げるドラマが描かれるが、ロドリゲス監督は「この映画には巨大な予算がかかっているけど、映画の“ハート”の部分を描くことを第一に考えた」と振り返る。

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木城ゆきとの傑作コミック『銃夢』に魅了された映画監督のジェームズ・キャメロンは、自身の手で映画化しようと長い時間をかけて脚本を執筆したが、あまりにも膨大な量になり、どのようにまとめるべきか困っていた。そこで参加したのが25年来の友人ロドリゲスだ。「ジム(キャメロンの愛称)の脚本は、彼らしい内容で、大作なんだけど心が温かくなるものだった。だから僕は最初は雇用されたのではなくて、自分から進んで無償で脚本の改稿を申し出たんだよ。彼の書いた脚本は映画化したら3時間ほどになる量だったから、もしそのまま撮影したら予算も膨大になる。だからまず、ジムのこれまでの映画を研究して、彼の脚本から冗長になっている部分とアクションシーンをカットして、アリータの感情が動くシーンを残したんだ。別の脚本家なら、アリータと周囲の人々のドラマを切って、アクションやスペクタクルを積極的に残したかもしれない。でも僕は“ジムならアリータの感情が動く部分を残すだろう”と思った。その結果、台本にして66ページ分をカットして2時間ほどの尺になったのに、映画の大切な部分は何ひとつ失われていなかった。ジムは驚いていたよ」

本作の舞台は現在から約600年先の未来。巨大なゴミ捨て場から頭部だけ無傷で発見された少女アリータは、サイボーグを治療するイド医師に手当をされ、身体のパーツを与えられて目を覚ますが、彼女は一切の記憶を失っていた。彼女は新しい街で、新しい人生を歩み始めるが、上空にそびえる幸福な都市ザレムから出るゴミをかき集めて暮らすアイアン・シティの治安は悪く、アリータは戦いに巻き込まれる中で成長し、やがて自身の進むべき道を見出していく。

監督は「カットした」と語っているが本作にはアリータが戦う中で覚醒し、熾烈な戦いに身を投じる展開がふんだんに盛り込まれており、すべてがCGで描かれるアリータのビジュアルも含め、その映像は緻密にして豪華。大規模な作品になった。「もし最初から僕が監督する計画なら、ここまで大きな予算は貰えなかっただろうね。ジムは『俺が監督していたら、君の2倍の予算を使ったはずだ』って言ってたけど(笑)。彼とはずっと友人関係だったし、実は1997年と2003年にも一緒に映画をつくろうとしたことがあったんだけど、その時は実現しなかったから『アリータ…』でやっと一緒に仕事ができたんだ。今回のプロジェクトで良かったことは、それぞれ作家性のあるふたりがお互いの邪魔をしないで仕事ができたこと。ふたりとも題材についてちゃんと理解していたし、兄弟のように助け合えたことが大きかったと思う」

ちなみにロドリゲス監督は演出だけでなく、自分で脚本を書き、自らカメラを担いで撮影し、編集し、ギターを弾いて作曲し……映画づくりの様々な過程をひとりでこなせる人物だが、他の監督や作家とのコラボレーションが多いのが特徴だ。「それは面白い指摘だね。キャリアの初期は撮影や作曲をできる知り合いがいなかったから、自分で覚えるしかないと思って(笑)、やっていくうちに“自分でもできるぞ!”って元気が出たりしたよ。でも僕は才能のある人とのコラボレーションがとても楽しいんだよ。中でも僕は“ひとりでさまざまなことをできるマルチな人”と一緒に作業するのが楽しいと思っている。というのも、優れたアーティストはひとりで複数のことをできてしまうものなんだ。例えば、僕は自分でカメラも回すし、編集もするけど、ジェームズ・キャメロンはそれを見て『俺も使いこなせるようになりたい』と言い出して、今では彼も自分で撮影や編集ができるようになった。そんな風にお互いに影響を与え合うことができるところがいいし、クエンティン・タランティーノやフランク・ミラーもそうだけど、良いコラボレーターというのは、マルチな才能を持つ人なんだよ」

自分で脚本も書き、カメラを担ぎ、編集までするロドリゲス監督とキャメロンがタッグを組んだ本作は、巨大な予算を投じて描かれる壮大なビジュアルと、個人的な想いがこもった小規模な映画の視点が混ざり合う作品になった。「本作では常に主人公アリータの視点で物語を描くことを心がけたんだ。例えば、映画の冒頭で彼女が目覚めた時、彼女はどこにいるのか分からないんだけど、観客も同じく“ここはどこだ?”と思うようにした。やがて彼女は目にするものに美しさや無垢なるものを見出していき、観客を作品世界に導いていく。彼女の視点を通じてストーリーを語ることで、観客は彼女に共感するし、心が温かくなる。これは低予算映画がよく使う手法なんだ。そういう映画は予算が少ないからキャラクター中心で、作り手や登場人物のハートの部分を重視している。僕はこの映画でも同じようにアリータの視点を大事に撮影し、正しい女優をアリータ役に選んで、彼女の感情を観客に伝えることを1番大事にしたよ」

監督が語る通り、観客はアリータと共にアイアン・シティを旅し、彼女の過去に驚き、秘められていた戦闘能力の高さに衝撃を受けるはずだ。その際のポイントは、過去のロドリゲス作品同様、“彼女の正体”よりも“この先、自分はどう生きるのか?”が重視されていることだ。「僕は倫理規範の厳格な家庭で育ったから、自分の映画でも繰り返し、人生上の価値観や人はいかに生きるべきか、相手を尊重することの重要性を描いてきた。だから、この映画でもアリータは“この世界はイヤだな”ではなく“この世界だって良くなり得る”と考えるし、彼女によって周囲の人たちも変化していくんだよ」

『アリータ:バトル・エンジェル』は謎を背負った主人公が戦い、成長し、“自分が何者か?”よりも“自分がどう生きていくのか?”を見つけていく物語だ。「だから観客にはアクションやSF的な世界も楽しんでもらいつつ、“あんな風になりたいな”と思ってもらえたらうれしいよ」

『アリータ:バトル・エンジェル』
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